井川・東みよし町エリア

讃岐山脈を作っている大地は主に、砂岩と泥岩の積み重なった地層からできています。その地層らは、大きく下にたわんだ褶曲（向斜構造）となっています。三好ジオパークエリア内で、その褶曲の軸（折れ曲がっている部分）が見られる場所が増川谷沿いで観察できます。これらは、約8000万年前の海底下で堆積した砂や泥の地層が、その後隆起する過程の中で、東へ傾きながらたわんだことを示す証拠です。

この露頭は、加茂の河原にある池田断層破砕帯露頭です。これは、平成30年7月豪雨時の吉野川の大増水によって河原の岩石が取り払われたことによって現れたもので、中央構造線の北側の大地を作っている和泉層群の破砕帯（黒色）と中央構造線の南側の大地と作っている三波川結晶片岩の破砕帯（灰緑色）が観察できる場所となっています。この断層に沿って東へ目をやると、道の駅三野の太刀野の中央構造線（ジオサイト）へ続いていることがわかります。

八石城は、池田町漆川や井内谷と祖谷をつなぐ街道沿いに築かれており、井内谷の急峻な地形、標高約800m付近の尾根の先端に建築された中世の山城です。敷地内にはこぶし大の円礫が用いられており、城としての土地として活用されていたと考えらえています。

腕山山頂は稜線が少し不鮮明で、緩やかな地形が広がっています。これは過去の斜面の地すべりによってできた線状凹地という地形です。この地形や山頂の涼しい気候を利用し、夏場は牛の放牧地として活用されています。

池田町で流路を東へ変えた吉野川は、井川町辻と東みよし町の昼間のあたりで川にある結晶片岩の岩々を侵食し、長さ2km、幅約100mに渡る深い淵を形成しています。東みよし町にある吉野川ハイウェイオアシス付近の淵は、砂質片岩からなる巨岩が河川内に点在し、また美濃田大橋付近では緑色片岩などが点在しています。池田町より下流側で吉野川の岩盤があらわれているのは2箇所ほどしかありません

この遺跡は、吉野川支流の扇状地にある、弥生時代末期の積石墓群です。1981年に吉野川北岸農業水利事業に伴い発掘調査が行われ、東西180mの範囲に前方後円形墓を中心に、36基以上の円形墓群が発掘されました。これらの墓石に使用されているのは、讃岐山脈から運搬されてきた砂岩の角礫が使用されています。

この神社は河成段丘上に築かれています。この神社の階段には、昭和29年9月13日に九州を縦断したジューン台風による浸水記録としての鋲が打たれており、自然災害伝承碑にも選定されています（町道からの比高は、4.1m）。

このクスノキは、吉野川の堆積物の平野に生育しており、樹幹は、根周り約23m、幹周り約16m、高さは約26mで樹齢は1000年と推測されています。落雷や暴風に耐え、強い生命力で威風堂々とそびえる大クス。天に向かって高々とそびえ大空にゆったりと枝を広げた姿は、側に立っているだけで、老樹の持つ穏やかさと威厳が私たちに静かに伝わってくるようです。

加茂山の中腹、標高320m付近の尾根の先端部に位置する古墳です。様々な種類の結晶片岩の角礫を積み上げて築かれた積石塚で、後円（方）中央には、墳丘の長軸と軸を合わせた竪穴式石室があります。
石室内部はすでに開口しており、副葬品としては顕著なものはありませんが、銅鏡１面の他、鉄剣、鉄斧など古墳時代前期に属する副葬品が採集されており、本古墳の造営時期を示しています。

加茂谷川に沿って岩陰遺跡が点在しています。岩陰は、古代、狩猟のためのキャンプ地であった場所です。遺跡は、結晶片岩の片理面沿いに崩落した跡地を活用しています。一号、二号、五号岩陰は、縄文時代早期（紀元前1万年ごろ）～晩期（紀元前1千年ごろ）まで各時代の遺物が出土しています。